11月例会のご案内と9月例会のご報告

11月例会のご案内

日時 11月20日(日)13時~16時
場所 吉備路文学館

内容 民主文学12月号の合評
   支部誌同人誌推薦作品特集
    「寂しくても 悲しくても ネギ刻む」 馬場雅史
   「初冬の風に」 菊池明



9月例会のご報告
 9月25日(日)13時から、吉備路文学館で例会を開催しました。参加は妹尾、石崎、井上淳、原、笹本でした。
(10月は中国地区文学研究集会に参加するため、例会を行っていません)

民主文学10月号の合評を行いました。

「ゆうたのこと」(瀬峰静弥)
・文章が素直で読みやすい。
・良い作品だが、主人公の年齢や時代がわからず、イメージしにくい。
・中学生がよく描けている。
・時間の経過がわかりにくい。

「ある謝罪」(稲沢潤子)
・おもしろく読んだ。
・Hの言っていることが正しいのか疑問がある。
・誰か明らかなのでイニシャルで書く意味があるのだろうか。
・登場人物に共感できない。
・深読みすれば、運動の危うさを書こうとしているともとれる。


中国地区文学研究集会の報告
 10月29(土)、30(日)の2日間、広島市の神田山荘で民主主義文学会の中国地区文学研究集会が開催されました。全体の参加者は講師を含めて14名で、岡山支部からは妹尾、石崎、原、井上淳、笹本の5名が参加しました。
 講師は文学会事務局長の乙部宗徳さんで、主題、題材、モチーフという言葉について整理することの必要性などを話されました。
 合評は呉支部「裕子」(中下貴枝子)、山口支部「島川診療所譚」(水野良正)、岡山支部「僕が生協を辞めた理由」の3作でした。
 「裕子」は義兄夫婦の子どもである障害児を育てた体験を描いた作品、「島川診療所譚」は明治初期を舞台に、つらい過去を持つ医者を主人公にした連作物の新作2編でした。
 「僕が生協を辞めた理由」については、辞めた理由が実際のところは何だったのかわからない、主人公が作者と一体化してしまっている、生協関係者にしかわからない用語の使い方に注意が必要などの意見が出されました。


「まがね」59号原稿募集
 一次締め切りは12月末ですが、原稿の集まり具合によっては延長します。

受贈紙誌
支部月報398号(仙台支部) 東久留米通信No.65(東久留米支部)
東京南部ニュース第557号・558号(東京南部支部) 流域通信第169号(埼玉東部支部)


9月例会のご案内と8月例会のご報告

9月例会のご案内
日時 9月25日(日)13時~16時
場所 吉備路文学館

内容
 「民主文学」の合評
   10月号 「ゆうたのこと」瀬峰静弥
         「ある謝罪」稲沢潤子
   9月号 「観察映画『牡蠣工場』」笹本敦史

8月例会のご報告
8月28日(日)9時半から12時半まで、吉備路文学館で例会を開催しました。
参加は妹尾、石崎、井上、笹本で、会員ではありませんが福山の瀬尾さんがゲストとして来られました。

「まがね」58号の合評
(詩)
「母を 生きる」 野中秋子
・いろいろな詩があっていいのだろうが、散文的で詩らしくないと感じた。
・親子の関係は様々だが、こんな生き方がいいと思った。
・個人的なことを文章にし、それが他人に読まれることはすばらしい。
・最後の決意に少し危うさを感じる。

「尺取虫よ」 北杏子
・命の大切さ、愛おしさを描いた良い作品だと思う。
・「オリオン、サソリ・・・」の部分に詩的イメージを感じる。

「宍道湖のしじみと戦犯天皇」 北杏子
・詩としては評価できないが、いろいろ議論できる内容を持っている。

「柿の木のある窓辺で」 石崎徹
・短い詩でリフレイン(繰り返し)は過剰ではないか。
・窓辺での男女の描写が良い。
・語感が良い。
・貫いているのは男女の不一致感だと思う。
<作者より>
・感想を聞いて、この短い作品でリフレインは問題かなと感じた。

「S画伯の回想~老女の巻」 妹尾倫良
・時制がわかりにくい。
・老女の話と父親の話が入っているところに無理がある。
・作者の他の作品との関連を感じる。
<作者より>
・戦争体験を聞き書きしている。
・破天荒な生き方をしてきたS画伯をどう表現しようかと悩んだ。

(書評)
「竹内久美子『そんなバカな! 遺伝子と神について』」 石崎徹
・前半の、本の内容を紹介した部分はわかりやすいが、後半の批判部分は不十分。
・文章には切れがある。
<作者より>
・売れた本なのでと思って書いたが、読んでない人にはわかりにくかったと思う。

随想について感想を出し合いました。
 説明不足のところや読点の打ち方などの指摘がありました。


受贈紙誌
「瀬戸文学通信」VOL.243(呉支部) 「流域」第25号(埼玉東部支部)
「弘前民主文学」156号(弘前支部) 「欅」35号(多摩東支部)

石崎 徹「柿の木のある窓辺で」(まがね58号)  植田与志雄

石崎 徹「柿の木のある窓辺で」(まがね58号)  植田与志雄

 詩など、普段は読むこともないのでこういうのを読んでもさっぱりわけが分からないんですが、「たぶん」と「もちろん」に興味を引かれました。
 ここに惹かれたのは技術者根性かもしれません。不確実と確実、両端が並んでいるところに興味が……。
 近くのものに、つまり生活に興味のない男、何を探しているのか、あるいは何かを探しているのかどうかもあやふやな男、だからすべてが「たぶん」なのだろう。
 女は近くのもの本位、つまり生活本位、愛するに足る生活があるのだろうけれど、生活なんだからあやふやさはなくて、生活に根を持つ愛なのだから「もちろん」というほど確かなものなのだろう。
 窓辺のテーブルでの食事、たわわな実をつけた柿の木、すべての好ましいものが手の届く近いところにある、山も空も近くにある。
 好ましいものが近くにあることを実感しているのは女なんだろう、男は女の視線を通してこれらを見て、好ましいものが近くにあることを女に寄り添うことで察しているのだろう。
 だから自分の感覚ではなく、女の実感に同意して、そうだねと言う。だから最後に先ず女が生活を愛していることが確認されて、次にそれに男が同意しつつも、やはり自分は何かを探し続けている、何を探しているのかもあやふやなまま……たぶん。
 男と女は異なる軌道を辿っているけれど、この詩のように一瞬だけ交わることがある。交わるけれど、それは一瞬でたがいに同化することはない。そこがいいんですよね!!
 最後にこのことを確認するために初めの順序を逆転させて二行が繰り返される。
 交わるけれど同化しない、のは自治会活動での人間観察からも感じるのです。
 ドミソは互いに自分の音は確かに持っていることで和音を形成する。各個が同化せずに自己を保つことでハーモニーが生まれる。
 同化を求めず交差を求める、交差の瞬間に何かが光る。
 民主主義は間違えると同化を求めるけれど、要注意。

 詩はどう解釈しても自由とのことなので、こんなこと考えたという報告です。

「まがね58号」感想      高原利生

「まがね58号」感想      高原利生


北杏子「尺取虫よ」
 
 最後の1行「可愛いものよ」が余計である。それ以外は、人と対象の一体的関係の表現として完ぺきである。

石崎 徹「柿の木のある窓辺で」
 
 最初と最後の(リフレインの)部分がわざとらしくて過剰だ。
 初読では、男が傲慢なのではないかという気がしたが、これはただ、男の「ずっと何かを探していた」ことを、女の「生活を愛していた」ことより上位においてしまう評者の固定観念だったのだろう。
 これは詩の中の「男」が作者本人であるかどうかには関係ない。「徹」という作者名で作者が男であると思っていいだろうが、これはさらに関係ない。
 二節目の「二人は食事した」に続く文が現在形だが過去の話と思ってよく、全体として今までの回想と思っていいのだろう。柿の木とその背景の見事な描写があり、女が、それらの見える今の場所を「いいところね」と言い、男が同意する。
 この同一性と「ずっと何かを探していた」男と「生活を愛していた」女の差異との関係がさっぱり分からない。
 その不思議な関係を、疑問、余韻として残すのが作者の意図なのであろうか?

野中秋子「母を 生きる」
 
 感動的である。16節からなる詩が、10節までの母の事実、10節目の最後から続く4節の母と自分の関わり、最後の2節は、野中さんご自身のこれからへの決意、祈り、叫びだと思う。
 全体が見事な構成になっている。
 初めに読んだとき、16節全体はご自身向けの詩として、発表作品としては最後の2節を削除したもの、という二編の詩があるとして読むと良いのだと思った。
 今は全体でいいのだと思う。
 特に、終わりの6つの節は、良い古典的交響曲を聴いているように、気持ちが作者とともに高まっていき、そして、作者とともに決意、祈りで終わる。
 感情の高ぶる詩を読んだのは何十年ぶりのような気がする。昔読んでいた感情の高ぶる詩は、単純な青春詩集、革命詩集だったような気がする。これはそうではない。
 いま望まれているのは、「広い」だけでなく「新しい」感情、価値であろう。
 野中秋子さんの詩は、老いてボケた母とともに生きる一体感という「新しい」感情表現として貴重である。
 ただ何かとの一体化の感情が生まれているから新しいのではない。全体の野中さんの、ボケた母との一体感とそれを自分の生き方にして行く具体的過程が新しい。
 一見「愚かに」見える母の行為に悩み迷いそれでも全体を受け入れて生きていくべきではないかと読者にも思わせる複雑な過程の全体が新しい。
 野中さんの詩の内容とは全く関係ないのだが、今の大きな課題の一つは、「憎しみ」の処理である。「憎しみ」の処理がもし可能であるとしたら、それはこの野中さんのような悩みと思考の複雑高度な過程を経なければならないのではなかろうか?
 最後の2節が前の節の内容を活かしたものであればもっと良かった、というのはないものねだりである。感動的な詩だった。野中秋子さん、ありがとうございました。


女性三人の作品について

 今回は詩だけ出された野中秋子さんの「母を 生きる」が感動的だったのと同様、長瀬佳代子さんの「寒い日」と随想のジャンルに入れられた「母物語」もどちらも感動的だった。事実は小説より奇なり。「母物語」は特に心に残る。長瀬佳代子さん、ありがとうございました。
 野中秋子さんと長瀬佳代子さんはともに、前のまがねの感想の時にも触れた。お二人の優れた文は偶然ではなかったのだ。
 野中秋子さん、長瀬佳代子さん、妹尾倫良さんが、いずれも生活を感動的に描いている、三人がいずれも女性であることは興味深い。
 昔は、女性が生きること、生活することは労働だった。労働とは対象を変えながら生きることである。女性は、昔、(今以上に)周りに、ある時には抗いながら、対象を変えながら生きなければならなかった。労働が賃労働に限らないのは今も昔も同じである。(将来、賃労働でない労働が、賃労働と同じに扱われるようになることを考えている。中期的には賃労働もなくなる。)
 随想のジャンルの妹尾倫良さん「約束の詩」も同様に感動的だった。これまた、事実は小説より奇なり。随想のジャンルに、いずれも一ページちょっとと短い、長瀬佳代子さんの「母物語」と妹尾倫良さん「約束の詩」が並んでいる。詩の野中秋子さんの「母を 生きる」も特に長くはない。「小説」ではないこのように短い三人の三つの文が、人に、涙が出るほどの感動を与えることにただただ驚いている。
 偶然かもしれないがこの三つは、ともに、ある人との関わりの数十年の歴史の物語である。それを一ページにまとめて感動させる。忙しいかたでも野中秋子さんの詩「母を 生きる」と、この二編だけで、「まがね58号」は読む価値がある。どうかお読みください。
(高原の書いているものが感動を与えないのは残念であるが仕方がない)
 長瀬佳代子さんの「寒い日」と妹尾倫良さんの「カラスになった日」の内容に触れる時間がない。

妹尾倫良作品について

 妹尾倫良さんが今回は目次の「創作」「随想」「詩」の最後にそれぞれ1編ずつ計3編出された。彼女の何に感動するかとしばらく考えてきて、分かったような気がすることがあるので、それを書く。
 妹尾さんの「随想」の文体は他の人と変わりない。整った良い文である。しかし、妹尾さんの詩と小説は、文体がガラッと変わる。文と文の関係が、読む緊張を必要とさせるようになる。時間、空間が連続的、直線的でなくなる。それでいて、彼女は、野中秋子さん、長瀬佳代子さんにはない、尋常な世界からより大きな広さを持った尋常でない世界を構成することができ、ある種の右遠俊郎に似てくるところがある。(といって僕は、右遠俊郎は一冊しか読んでいない。題も忘れた。)
 まがね58号の全部に目を通せていない。野中秋子さん、長瀬佳代子さん、妹尾倫良さんの三人の女性に驚嘆したものに限られたことをお許しいただきたい。

8月例会のご案内と7月例会のご報告

8月例会のご案内
日時 8月28日(日)9時半~12時半
場所 吉備路文学館

※通常の日程から変更しています。ご注意ください。
内容 まがね58号の合評
   誌・書評・随想


7月例会のご報告
 7月24日13時から吉備路文学館で例会を開催しました。参加は妹尾、井上、石崎、笹本でした。

まがね58号の合評を行いました。
「間男」 井上淳
・構成ができている。
・フィクションを作ろうという意欲がいい。
・ストーリーだけで描写がない。
・どんでん返しで話が締まった。(途中で終わってしまっている感じがする、という意見もあり)
・年齢、仕事など人物像がよくわからない。
・人の動きが文章でつながっていないところがあって読みにくい。
・全体をユーモラスなタッチで統一した方がおもしろい。
<作者より>
・描写が足りないところがわかった。
・まじめだけどおもしろい、というものをめざした。

「僕が生協を辞めた理由」 桜高志
・小説の書き方としては上手くないが、動機の強さを感じる。
・インパクトが強い。
・主人公の側からの一方的視点が気になる。
・一緒に飲んでいる6人の性格がわからない。
・主人公と作者が一体化している。どこかで冷めた部分が必要。
<作者は欠席でした>

「カラスになった日」 妹尾倫良
・時代の雰囲気が伝わる。
・登場人物それぞれがよく描けている。
・重要人物である左奈さんの登場が唐突。
・母の存在に共感できれば、導入部が効いてくる。
・母への反発と理解という複雑な心情が描けている。
・時間が変わるところは1行空けにした方が良い。
<作者より>
・戦後の田舎の人間関係を描きたかった。
・これからも連作で戦後の時代を書きたいと思っている。

 中国地区研究集会と「民主文学」支部誌同人誌推薦作特集への出品について検討しました。

受贈紙誌

東京南部ニュース第555号(東京南部支部) 支部月報396号(仙台支部)
「野火」第12号(東久留米支部) 東くるめ通信NO.64(東久留米支部)