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10月例会のご案内と9月例会のご報告(2023)

10月例会のご案内
日時  10月15日(日)13時~16時
場所  吉備路文学館2階研究室

内容  「まがね65号」の合評
    小説 『島の女神』白石宏平
『同志社から始まる物語』石崎徹
    小説以外の作品全て
             
9月例会のご報告

 9月16日(土)13時より吉備路文学館にて例会を行いました。「まがね65号」の合評を行いました。参加は妹尾、石崎、笹本、桜、宗澤、井上でした。他に会員外で、石崎明子さんの参加がありました。また、文月さん、鈴木さんから書面にて合評作品への感想をいただきました。

〇『万華鏡』宗澤亮
・文章が洗練されていて、完成度の高い作品である。
・描写が的確で読みやすい。情景が目に浮かんでくる。
・万華鏡という題材を使って、人生の選択や後悔を描いている。
・万華鏡と美観地区の設定が良い。
・コーヒーの知識が凄い。(作者によれば、コーヒーに詳しい友人に事前に読んでもらった、とのこと。)
・長編の作品も読んでみたい。この作品では、「僕」と遠藤との関係が中途半端なままで終わってしまっている。
・主人公の苦悩が感じられない。
・会話が不自然な所がある。
・喫茶店のマスターと万華鏡を作った植木職人が同一人物かと思ったが、年齢を計算したら違ったようだ。(作者によれば、「同一人物です」とのこと。)
・タイトルである珍しい万華鏡の外装の描写が欲しかった。
・最後の文は蛇足か。
△作者より ご意見ありがとうございました。機会があれば、長編小説にしてみたいと思う。
 
〇『道化師』笹本敦史
 ・プロレベルの作品。テーマ設定、構成、描写、全てにおいて非の打ちどころがない。
 ・最後にどんでん返しがあって面白かった。
 ・娯楽小説であるが、現代的な問題を扱っている。
 ・作者の今までの作品とはガラッと違う作品で、器用だなと感心した。
 ・最初に読んだ時はミステリーとは分からず意味がよく分からなかったが、それを踏まえてもう一度読んだら、面白かった。だが、一度で分からない作品というのはどうなのか。
 △作者より 叙述トリックの作品である。数年前に近所で火事があり、その現場を見たことがこの作品のモチーフとなった。創作期間は短かったが何度も書き直した。

〇『どんぐりどんぐりー! ~森のお茶会』文月ぼたん
 ・ストーリーと会話がおもしろい。興味がひかれる。
 ・動植物の知識が凄い。
 ・作者の熱意が伝わって来て、こちらまで元気になれる。
 ・現代の社会問題が取り上げられているところや現代の若者言葉が使われていているところにユーモアを感じる。
 ・登場する動物の名前とそれぞれの口癖が楽しい。
・メリハリのない展開で退屈する。長すぎる。
 ・童話の体裁で描かれているが、童話らしくない。どういった読者層を想定しているのか分からない。子どもを対象としたものであれば、もっと短く、絵本の形を取るべきだと思う。
・童話であれば、「ラスイチ」「キャラが濃い」などの俗表現は使用しない方が良いのでは。
 ・冒頭に出てくるハリネズミのチクリの手紙が、途中から手紙ではなくなっている。
 ・感嘆符を使用し過ぎである。
 △作者より 友人が作ってくれたリスの雑貨がとても可愛らしかったので、そこから発想を飛ば
して童話を書きたくなった。今回の作品は、明るく、色鮮やかに、さまざまな動植物の特徴や
営み、命の輝きをユーモアと躍動感を持って描くことにこだわった。途中、何度も行き詰まっ
たが、何とか形にしたいという思いだけで書き上げた。
                               
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9月例会のご案内と8月例会のご報告(2023)

9月例会のご案内
日時  9月16日(土)13時~16時
場所  吉備路文学館2階研究室

内容  「まがね65号」の合評
小説
 『万華鏡』宗澤亮
『道化師』笹本敦史
『どんぐりどんぐりー! ~森のお茶会~』文月ぼたん
             
8月例会のご報告
 8月20日(日)13時より吉備路文学館にて例会を行いました。「まがね65号」の合評および「2023年度 民主文学 支部誌・同人誌推薦作」の選出を行いました。参加は妹尾、石崎、笹本、桜、井上でした。他に、今回の合評作品の作者・石崎明子さんの参加がありました。また、文月さんから書面にて合評作品への感想をいただきました。

〇『フランスにて』石崎明子
・文章が洗練されていて、きれいな作品である。
・描写が的確で読みやすい。情景が目に浮かんでくる。
・生活感がない文章であるが、この作品には合っていると思う。
・全体的にセンスの良い文章であるが、特に結びの一文が秀逸である。斬新な表現で印象に残る。
・『声』は不思議なストーリーで、ロマンチックである。
・『白樺』は自分の知らない世界が描かれていて、好奇心をそそられた。
・小説としてみるならば、少し引っ掛かる所があった方がおもしろいと思う。
 △作者より 25年前に書いた作品を投稿した。時系列で言えば、『白樺』『音楽』『声』の順である。『音楽』と『白樺』はエッセイとして書いた。『声』はフランス語で書いた小説作品を日本語に直した作品である。 

〇『親友』有坂初枝
 ・きりっとしているが、飾り気のない温かい手触りを感じる。
 ・推理小説好きの主人公らしく、途中からその美容室の母親に対して色々と推測し始めるのはユーモラスである。 
 ・「母親の言葉は、まるで推理小説のページをめくったような感じがした。」の表現が秀逸である。
 ・我が国の未婚化の問題を考えさせられた。
・この長さにしては、十分の内容ではないか。小説の基本が押さえられている。
・他人から「親友になってもらえませんか」と言われる場面が想像できない。突拍子ない。
・話をもう少し展開させれば、もっと良い作品になったと思う。

〇『異次元の少子化』井上淳
 ・おもしろかった。
 ・作品の方向性は評価できる。
 ・会話の流れがスムーズで読みやすい。
 ・皮肉とブラックユーモアがある。
 ・細部の描写がないので、作品にリアリティーがない。ストーリーの展開についていけない。
 ・作品中一度しか出てこない人物が多いが、人物像が浮かばないので行動の裏付けがない。
 ・テーマの取り上げ方が単純である。問題の原因は一つではない。
 ・ストーリーの設定や展開に納得できない部分が何ヶ所もある。(子どもが妊娠したと分かって 
  学校にクレームをつける親がいるのか、老いてから他人の子どもを育てる人がいるのか、など)
 ・大げさな表現がある。(「吐き気を催すような…」、「悲痛な叫び声が校舎に響いた。」など)
 ・作品が上手くまとまっていない。全体的にバラバラの印象。
 △作者より 自分の最大の関心事から、近未来を想像して書いた。今までの作品同様、会話の面白さに重点を置いた。今回、作品にリアリティーを持たせるコツをいろいろ教えてもらったので、次に活かしていきたい。

〇『捲土重来』桜高志
 ・選挙に出るということ、またその立候補者を支援していくことの大変さとその中で培った人間同士の絆を感じた。
 ・柿本の選挙期間中のエピソードはとても感動的だ。
 ・理屈の部分が多く、面白くない。
 ・慰労会で参加者が順に発した言葉を連ねるという形態は、登場人物の本音が分からないので、面白い小説にはしにくいのではないか。
 △作者より 報われることなく選挙活動に奮闘している人がいることを知ってもらいたいと思
       って、書いた。共産党に対する不満も込めたが、伝わらなかったかもしれない。

「2023年度 民主文学 支部誌・同人誌推薦作」は、『異次元の少子化』井上淳に決定しました。
(以上、文責:井上淳)

〇「中国地区文学研究集会」のご案内
11月18日(土)13:30(開場13:00)~19日(日)12:00 会場はオルガ4階スタディールーム(岡山市北区奉還町1丁目7-7)、懇親会・宿泊はその近隣をご用意させていただきます。講師は民主主義文学会常任幹事の風見梢太郎さんです。参加費は、全日程参加で13,000円、日帰り参加は1日500円、懇親会は5,000円です。申し込み締め切りは、9月15日(金) 事務局までご連絡ください(要予約)。宿泊なしで講演会、合評会、懇親会の部分参加も可能ですし、まがね文学会会員以外の方のご参加も歓迎です。多くのご参加お待ちしております。 

「まがね」65号を発行しました

「まがね」65号を発行しました。

小説9編
随想・詩
特集「旅」

ご購入は各会員またはメールフォームへお申込みください。
500円(送料別180円)

ご感想もメールフォームからお願いします。

magane65

8月例会のご案内と7月例会のご報告(2023)

8月例会のご案内
日時  8月20日(日)13時~16時
場所  吉備路文学館2階研究室

内容  「まがね65号」の合評
 小説「フランスにて」石崎明子
   「親友」有坂初枝
   「異次元の少子化」井上淳
   「捲土重来」桜高志     
             
7月例会のご報告
 7月30日(日)13時より吉備路文学館にて例会を行いました。「まがね65号」の発送作業と『泥の河』宮本輝の合評を行いました。他に、「中国地区文学研究集会」について話し合いをしました。参加は妹尾、石崎、笹本、宗澤、白石、井上でした。また、見学に来られていた方が入会されました。

 『泥の河』の合評
・改めて素晴らしい作品だと思った。自分が創作する上での手本としたい。
・平凡な人達の平凡な生活を描くことによって、人生について考えさせてくれる。これぞ文学だと思った。
・死が身近にあった時代の空気が伝わってくる。
・小説の構成が非常によくできている。伏線が至る所に張りめぐらされている。
・描くことが難しいとされる子どもを主人公にして、その心理が詳しく描写されていて驚いた。
・子どもの目線で描かれているが、それは大人の目を通してみた世界であると思う。
・子ども同士のやり取りが面白い。
・女性が魅力的に描かれている。色気を感じた。
 ・「美」に焦点が当てられることによって、俗っぽさが消えている。 
 ・古い感じがした。生きている世界が違うのでピンと来なかった。
・作品のテーマがよく分からない。
 ・冒頭部分が難しい。後でストーリーに関係ないことが分かったが、川や橋の詳しい説明はいらないのではないか。→「作品の舞台背景を伝えるのに必要」という意見あり。
 ・構成がしっかりし過ぎていて、先の展開が読めてしまったのが残念。
 ・一流作家の作品にしては、決して美文とは言えず、表現が突出しているわけではない。
                                (以上、文責:井上淳)
 お知らせ
〇コロナ禍で3年間中止となっていた「中国地区文学研究集会」を開催します。11月18日(土)19日(日)会場は岡山市北区奉還町のオルガ会議室です。
 

7月例会のご案内と6月例会のご報告(2023)

7月例会のご案内
日時  7月30日(日)13時~16時

場所  吉備路文学館2階研究室

内容  「まがね65号」配布・発送作業
 『泥の河』宮本輝の合評(「蛍川・泥の河」〈新潮文庫〉に収録されています)
             
6月例会のご報告
 6月11日(日)13時より吉備路文学館にて例会を行いました。『密やかな結晶』小川洋子の合評を行いました。参加は妹尾、石崎、笹本、桜、宗澤、白石、井上でした。

●・おもしろかった。
 ・感動した。
 ・読みやすい。
・あり得ないことをあり得ることのように感じさせる巧みな表現で書かれている。
・ストーリー設定は矛盾だらけだが、それを受け入れて読むことができる。
・美しい文章で怖い話を書くことが多い作家だが、この作品は穏やかで優しい気持ちで読むことができた。
・ものが消滅するということに理由はないというストーリー設定は、きっと何かを象徴しているのだと思う。
・表現の自由を奪われる恐怖が描かれている。
・記憶を失えば事実もなかったことになるということが描かれている。
・たかが人間。地球の歴史からすればほんの一瞬の事に過ぎないと改めて感じた。
・メルヘンチックな作品だが、人間の本質や現代社会の問題点を象徴的が描かれているように感じた。
・何回も読み返せば、象徴的なシーンの意味が分かってくるような気がする。
・この作品が今から30年も前に書かれたという作者の先見性に驚かされる。
・村上春樹の作品と似ていると思った。
・悲劇的なストーリーだが、タイトルからすると、作者はそこから前向きなものを伝えたかったのではないかという気がする。
・すっきりしない終わり方だが、それも作者の意図であると思う。
                                (以上、文責:井上淳)